大判例

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東京高等裁判所 昭和41年(う)1376号 判決

被告人 斉藤一

〔抄 録〕

次に職権をもつて原判決の法令の適用の当否につき調査するのに、およそ同一人が同時に異る場所において、販売目的のためわいせつ図画をそれぞれ所持する場合であつても、わいせつ図画販売目的所持罪の行為の態様が通常反覆、継続することを予想している点に照らし、その保護法益が善良な性秩序ないし健全な性的風俗という社会的法益であることにかんがみ、社会通念上右各行為を包括的に考察して一個の所持と認めるのを相当とする場合がある(昭和二七年二月一五日福岡高裁判決、高裁刑集第五巻二号二四九頁以下参照)。

本件においては、記録に現われた諸証拠に徴すると、被告人は静岡県熱海市栄町桝田屋秀昭から数ケ月にわたり引続き本件同様のわいせつ写真の相当量を幾回にもわたつて仕入れ、これを同市内の自宅又はその勤務先なるふじのや旅館帳場内の自己の所有する箱に同時にこもごも隠匿保管しており、右旅館の泊り客の求めに応じこれを販売していたものであつて、本件写真も右と全く同様、泊り客の求めに応じ販売する単一の意図の下に仕入れたものを同時に自宅又は前記勤務先に分散、隠匿保管していたものであることが明らかである。この認定によれば、被告人の主観においても客観的な所持行為の態様においても、本件所持はこれを包括的に考察して一罪性を肯認するのが相当であると考える。

しからば、原判決が、原判示の日に自宅にあつたわいせつ写真に対する所持と同日前記勤務場所にあつたわいせつ写真に対する所持とを別個の二個の所持と解し、刑法四五条前段の併合罪として処断したのは、法令の適用を誤つたもので、しかも右の誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決はこの点において破棄を免れない。

(江碕 石田 西村)

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